高等学校等卒業(18歳)がライフステージ上の1つのターニングポイントになります

●高等学校等卒業後の進路とリテラシー

 前回、高校生までに求められるリテラシーについて、文部科学省の新しい学習指導要領に基づいてみてきました。

 前回の記事をまだ読んでいない方はこちらから↓

 現在、高等学校等への進学率は2019年度には98.8%にのぼっていますが、高校卒業後の進路は2019年度では、大学短大進学率54.7%、専修学校・各種学校等進学率22.0%、新規卒業者に占める就職者の割合17.7%と、おおよそ4人に3人の生徒は進学し、おおよそ6人に1人の生徒が就職しているのが現状です。(資料1)

 このようにみてみると、高等学校等卒業後は引き続き学生生活を営む場合と就職して働きに出る場合に分かれていくことになります。

 引き続き、大学生として学業に励む場合と、実社会に出て働く場合とでは、求められるリテラシーは異なってくるでしょう。

●2022年4月からの成年年齢の18歳へ引き下げ

 ところで、2018年(平成30年)6月に成立した「民法の一部を改正する法律」が2022年4月1日から施行されます。

 法務省が作成したパンフレットでは、その改正の概要を次のように記しています。

 「民法が定める成年年齢には、①一人で有効な契約をすることができる年齢という意味と、②父母の親権に服さなくなる年齢という意味があります。未成年者が契約を締結するには父母の同意が必要であり、同意なくして締結した契約は、後から取り消すことができます。また、父母は、未成年者の監護及び教育をする義務を負います。

 民法が定める成年年齢を18歳に引き下げると、18歳に達した者は、一人で有効な契約をすることができ、また、父母の親権に服さなくなることとなります。

 また、改正法では、女性の婚姻開始年齢(結婚することができるようになる年齢)についても見直しをしています。婚姻開始年齢は現在、男性18歳、女性16歳とされていますが、女性の婚姻開始年齢を18歳に引き上げ、男女とも18歳にならなければ結婚することができないこととしています。」(資料2)

 「18歳に達した者は、一人で有効な契約をすることができ、また、親権に服さなくなることとなります。」とあるように、1人前の社会人としての責務を果たすことが求められてきます。

 すなわち、高等学校等卒業時までに、成年として社会生活を営んでいく上で必要とされるリテラシーは身につけておくことが必要となるといえるでしょう。

●私たちが身につけることが望まれるリテラシーとは

 私たちがどのようなリテラシーを身に付けたらよいのかを考えながら、ライフステージごとのリテラシーを見てきました。

 前項で述べたように、高等学校卒業までに学ぶことが求められる各種リテラシーは、日本国民が社会で生活していく上で必要とされる最低限度のリテラシーと考えることができるでしょう。

 成年以降の職業生活を送っていく際に求められるリエラシーの例としては、以下のものあげられます。

 経済産業省は「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」として「社会人基礎力」(「前に踏み出す力」、「考え抜く力」、「チームで働く力」の3つの能力(12の能力要素))提案しています(資料3)。

 また、厚生労働省は「仕事をこなすために必要な『知識』と『技術・技能』に加えて、『成果につながる職務行動例(職務遂行能力)』を、業種別、職種・職務別に整理したもの」として56の業種について「職業能力評価基準」を示しています(資料4)。

 この他にも各職業や専門分野ごとに求められる仕事上のリテラシーがありますが、職業上必要となるリテラシーは、その養成施設や職場で身につけていくことになるでしょう。

 前回の記事(https://taka0211.com/62/)の最後に、これから社会生活を営んでいく上で、大人も身に付けたほうがよいリテラシーとして、「プログラミング教育、外国語教育、言語能力、理数教育、消費者教育、キャリア教育、起業に関する教育、金融教育、防災・安全教育など」をあげました。

 次回からは、これらの高等学校までに学ぶことになったリテラシーを成年期以降の私たちはどのように学んでいったらよいか考えていくことにします。

【引用文献】

1)文部科学省 初等中等教育局 参事官(高等学校担当)付「高等学校教育の現状について」(令和2年 10月1日)

(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kaikaku/20201027-mxt_kouhou02-1.pdf)

2)法務省パンフレット「民法改正 成年年齢の引下げ〜若者がいきいきと活躍する社会へ〜」(https://www.moj.go.jp/content/001300586.pdf)

3)経済産業省ホームページ「社会人基礎力」(https://www.meti.go.jp/policy/kisoryoku/)

4)厚生労働省ホームページ「職業能力評価基準について」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/ability_skill/syokunou/index.html)

【参考】

1)法務省ホームページ「民法の一部を改正する法律(成年年齢関係)について」(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00218.html)には、法律改正に関わる各種資料や成年年齢引下げに関する動画などが掲載されています。

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