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●ここで取り扱うリテラシー内容の再確認
本記事で取り扱うリテラシーについて、いくつかの点の再確認しておきたいと思います。というのは、本記事ではこれからの時代に私たちが学ぶべきリテラシーとして、高等学校までの学習指導要領で新たに追加されてきている内容を取り上げました。いっぽう、リテラシーの内容によっては、その分野の仕事を行う上で必要な場合もあり、仕事に就くうえで身につけておくべきリテラシーという内容で語られるものもあることに改めて気づかされたからです。
リテラシーとは「読み、書き、そろばん」といった社会生活を営む上での最低限必要とされる要件であったため、その他の「●●リテラシー」という内容も社会生活を営む上での最低限必要な「●●」に関する知識・技術や活用能力だと考えていました。しかしながら、特定の職業に必要な能力も「▲▲リテラシー」といった使い方をする場面があることに気づき、本記事で取り扱う範囲を明確にすることが必要だと考えました。
今記事で扱うリテラシーは、職業のためのリテラシーではなく、社会生活を送るために必要なリテラシー、立場としては商品やサービスの提供者ではなく、消費者の立場にとって必要な内容について取り扱うことを改めて確認しておきたいと思います。
●改めて、社会生活を送るうえで必要なリテラシーを学ぶこととは
「社会生活を送るために必要なリテラシー」ととらえた場合、その必要性はどのようなところから考えたらよいでしょうか。
第1に、私たちが生活している社会環境そのものの変化です。私たちが自らのライフステージの段階で常識だと思っていたことは、現在そのライフステージを経験している世代の常識とは異なります。これは将来についても言えます。前の世代の現在の生活は、明日の私たちの生活と考えてはいけない時代になってきています。ですから、私たちは私たちの自らの未来を見据えた自らのライフプランをつくっていかなければならないと考えられるからです。
第2に、国際社会の動向も踏まえた国の政策動向の変化です。経済のグローバル化の進展は国際的な動きであり、我が国だけがその動向とかけ離れて存在していくことは困難です。国際化が進展することにより国際社会とのハーモナイゼイションは進展し、社会生活において求められる内容も共通のものになっていく可能性があるからです。
第3に、社会生活で必要なリテラシーは、単に知識として知っているだけではなく、それを活用できるようにまでなることが必要であるという、習得レベルの変化です。知っているだけで行動しないということではダメで、行動するために必要な知識を身につけるというように考え方を変えることが求められます。このためには、知識の学習、その知識の活用方法の演習・シミュレーション、実習等の実践場面の経験、といったプロセスが必要になると考えられます。
●「金融リテラシー」を例にとり、学習プランづくりを考えてみましょう。
リテラシーに限らず、何かを学び身につけるためには、まず最初に学習プランを作ることが大事です。学習プランは、以下のことを明らかにして作成する必要があるでしょう。
① 自身が学ぶ目的・意義の明確化
② リテラシーの内容の全体像の把握(学習項目と必要時間)
③ 自身の知識やスキルのレベルの把握
④ 自身の学習に使うことができる時間の確認
⑤ 自身の学習項目と方法の選定(教科書等の書籍、後援会・セミナー等)
⑥ 学習計画の作成(目標、学習スケジュール、今年度の目標、今年度の計画)
⑦ 学習のモニタリング・シートの作成
⑧ 今年度の学習評価表の作成(学習項目の修得度の評価)
⑨ 次年度の計画作成
リテラシーの種類によっては、1年間では済まないものがあるかもしれません。その場合には、PDCAサイクルを回していきましょう。
①から③を明らかにするためには、その分野の教科書をもとに勉強することが有効でしょう。特に、金融リテラシー教育は高等学校で行われることから、高等学校の教科書を活用することが有効と考えられます。学校の教科書は、一般の人でも入手可能だということで。具体的な入手方法はネットで検索すればすぐにわかります。ただし、次年度の教科書の一般への販売は4月以降とのことで、現段階で高等学校の教科書は入手できませんでした。
次に、一般書籍をみてみました。Amazonの書籍で「金融リテラシー」で検索すると270件以上ヒットしました。CiNiiというデータベース(https://ci.nii.ac.jp/books/)で国内書籍を検索すると31件ヒットしました。このなかから、高等学校までの金融リテラシー教育という観点で、アンドリュー・O ・スミス著、桜田直美訳「アメリカの高校生が学んでいるお金の教科書」SBクリエイティブ、2019.を購入しました。【参考】として、目次構成を本記事の最後に掲載しておきましたが、高校生レベルで学ぶ金融リテラシーの全体像を理解することができるでしょう。
日本版のすぐに手に入れられる書籍の選定が困難であったため、ネットでいろいろと情報を探しているうちに、「知るぽると 金融広報中央委員会(事務局 日本銀行情報サービス局内)」(https://www.shiruporuto.jp/public/)というサイトを見つけました。本サイトでは、金融リテラシーに関する情報が数多く掲載されており、私たちが学ぶのに大変役に立ちそうでした。
次回は、金融リテラシーの学習について「知るぽると」の情報も参考としつつ、考えていきたいと思います。
【参考】アンドリュー・O・スミス「アメリカの高校生が学んでいるお金の教科書」目次
第1章 お金の計画の基本
第2章 お金とキャリア設計の基本
第3章 就職、転職、起業の基本
第4章 貯金と銀行の基本
第5章 予算と支出の基本
第6章 信用と借金の基本
第7章 破産の基本
第8章 投資の基本
第9章 金融詐欺の基本
第10章 保険の基本
第11章 税金の基本
第12章 社会福祉の基本
第13章 法律と契約の基本
第14章 老後資産の基本
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