●これまで身に付けてきた自らの「リテラシー」の見直しが必要とされます。
最近、自分自身がこれまで身に付けてきたリテラシーだけでは、対応できないと痛感する場面が多くなってきました。
2020年4月の新型コロナウイルスに伴う緊急事態宣言により、テレワークを行うことが必要になりました。このため、家庭内の情報通信環境を整備したり、高機能なノートパソコンに買い替えました。また、2021年春のスマホ料金改定に合わせて、スマホも買い替えました。
このような情報通信機器の買い替えや初期設定を久しぶりに行ってみて、これまでも身に付けてきた自分自身の情報リテラシーでは十分に対応できないことがわかりました。家庭内のネットワークシステムをどう構成するか、通信機器はどう構成するか、パソコンやスマホのデフォルトで設定されている様々な機能をどう見直すのか、セキュリティはどこまで設定するのか等、今でも正解かどうかわからない状況です。
また、定年に近づいてきて、これからの老後生活を考えた場合、生活資金の問題、健康の問題、65歳以降の仕事、などいろいろな分野について学び直さなければならないと感じています。
●学校教育で「リテラシー」教育が始まっていますが、成人は自ら「学ぶ」ことが必要となります。
リテラシーとは、「読み書き能力」、「ある分野に関する知識やそれを活用する能力」とされています。
近年、情報リテラシー、金融リテラシー、リスク・リテラシー、ヘルス・リテラシー等で使われている意味は、「ある分野に関する知識やそれを活用する能力」に力点が置かれています。
私たちは、社会で生きていくためには様々な「リテラシー」を身に付けていく必要があります。これまでリテラシーは、小・中学校における義務教育から始まり、高校、大学、大学院といった場での教育により身に付けてきました。学校卒業後の社会人としてのリテラシーは組織での教育、職業人としての教育や、個々人の努力に依存してきました。
しかしながら、近年の国際的な社会経済環境等の変化、情報通信技術の急速な進歩、多様な商品・サービスの展開など、急激に変化する環境に対応できる知識の習得やそれらの基づく適切な行動が必要とされる状況になってきました。
このようなリテラシーのうち一部のものについては学校教育に取り込まれてきています。「平成29・30・31年改訂学習指導要領」においては、情報活用能力を「学習の基盤となる資質・能力」と位置付け、小学校は令和２年（2020年）度、中学校は令和３年（2021年）度から全面実施し、高等学校は令和４年（2022年）度から学年進行で実施されることになっています。また、金融教育への取り組みも盛り込まれています。
学習指導要領の改訂により、これからの社会で必要となるリテラシーは学校教育での取り組みが進められていきますが、学校教育を終了している年齢層の国民はそれぞれが自ら知識を学び、それを活用する能力を身に付けていく必要があるでしょう。
●今、求められている様々なリテラシーは、どのように身に付けたらよいでしょうか。
社会人を対象とした「リカレント教育」や「学び直し」も行われてきています。しかしながら、日々の実践場面で必要となるような知識やそれを活用する能力を対象としていることは少なく、様々なリテラシーを身に付ける場所になることは困難だと思われます。
いっぽう、ネット上では各種のリテラシーに関する情報が様々な媒体で提供されています。ブログによる記事、YouTubeによる動画等、様々な情報発信者による教育的情報があふれています。
例えば、お金に関する「リテラシー」に関するものとして、『両＠リベ大学長「本当の自由を手に入れるお金の大学」朝日新聞出版、2020』という本がベストセラーになっています。この書籍は、YouTubeで配信されていたものをもとに書籍化されたものです。
このお金に関する書籍のように「リテラシー」が体系化された場合には、我々は出来上がった教科書をもとに学ぶこともできますが、常に最新の状況に対応した教科書がある分野ばかりとは限りません。
このため、我々は先人・専門家等からの教科書による「教え」を受けるという姿勢だけではダメで、自ら問題等に「気づき」、自らの力で知識を「学び」、知識を活用する能力を身に付けていくことが必要とされています。
（参考資料）
文部科学省ホームページ： 学習指導要領「生きる力」https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/index.htm （2021年10月22日）
文部科学省ホームページ：平成29・30・31年改訂学習指導要領（本文、解説）https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/1384661.htm （2021年10月22日）
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